『古代哲学研究 (METHODOS)』

『古代哲学研究』とは

古代哲学会では会誌『古代哲学研究 (METHODOS)』を年1回発行しています。本誌の中心となるのは研究論文で、日本における古代哲学研究の最先端となる論文を掲載しています。また、研究ノートやディスカッション、日本で出版された古代哲学に関する研究書の書評などを掲載することもあります。この他に、毎号巻末には、海外で出版されたばかりのたくさんの論文を簡潔に紹介する「海外雑誌論文紹介」を収録しています。「海外雑誌論文紹介」の作成にあたっては、有志の会員の多大なご協力を得ています。

会員には追加費用無しで配布されますが、会員以外の方にも有償 (一部 2,000円) で頒布しております。定期購読をご希望なさる場合は、入会申込書にご記入のうえで編集部までご送付ください。バックナンバーの購入も承っていますが、第1号から第9号は在庫僅少のため販売しておりません。

最新号目次

55号(2023年)

藤田大雪:反駁は不可能である——アンティステネスのパラドクスが問いかけるもの

田代 嶺:『テアゲス』における著者の意図

足立恵理子:プロティノスにおける美と善の同一性——V. 5. 12を中心として

2023年12月25日に、京都大学文学研究科西洋古代哲学史専修の中畑正志教授(現京都大学文学研究科名誉教授)の定年退職を記念して、『古代哲学研究』特別号が出版されました。

中畑正志教授定年退職記念特別号

SUPPLEMENTARY VOLUME(2023年)

中畑正志教授定年退職記念講演

中畑正志教授京都大学講義題目

中畑正志教授略年譜

中畑正志教授主要著作目録

創刊50号記念号 巻頭言

内山勝利先生による創刊50号記念号の巻頭言を掲載します。全文を表示するためにはこの部分をクリックしてください。


第L号刊行を迎えて  内山勝利

 

『古代哲学研究(METHODOS)』が第L号の刊行を迎えることになった。

 書棚のほぼ一列を占める第I号からの全バックナンバーを改めて眺めていると、思い出されることはきりなく多いが、すでに別の折にも記すことがあったので、個々のあれこれについては最小限にとどめたい。

 本誌の刊行は故・藤澤令夫先生によって発案されたもので、第XX号の巻頭言として寄せられた「創刊20周年を迎えて」にご自身が書かれているとおり、「1968年(昭和43年)6月27日、河原町の「明窓」という軽食喫茶店の二階に教室の一同22名が集まり、大学院生を中心的な担い手とする西洋古代哲学プロパーの研究室誌を年刊で出すことを提案して賛同を得た」ことから、本誌の歩みが始まった。

 当初の本誌のありようは、田中美知太郎先生の時代からつづいていた「古代哲学談話会」を発行母体とし、運営的にはむしろ同人誌な自由なかたちのものであった。また、藤澤先生には、かつて学生時代に数人のグループで刊行した哲学同人誌『道程』のことが意識の底に置かれていた。「明窓」での合議で決められた〈METHODOS〉という誌名は、そのあとで先生の提案によるものと分かったのだが、この「探究の行程」を意味する平明なギリシア語には、いみじくも「道程」(HODOS)を後継する(META)存在であることが重なり合って読み取られよう。

 ただし、内実として期待されていたのは、むろんのこと古代哲学に関する高度の専門学術誌であった。われわれの成果発表は、philosophiaに傾斜した哲学プロパーの場か、philologiaに傾斜した古典学の場かのいずれかでなされるのが通例であった(ある)が、よりいっそう自由に古代哲学本来のコンテクストとスタイルの中で論文を作成し議論を交わすことのできる場として、古代哲学談話会が賦活化され、独自の研究誌を持つことが求められたのだった。そのような性格の刊行物としては、少なくとも当時は、そしてその後も長らくわが国唯一のものであったから、会員の輪も次第に全国的に広がり、おのずと一つの学会誌的な性格のものになっていった(1979年に会の名称が「古代哲学会」と改称されたのは、もっぱら外的な必要ないし便宜からであったが)。ちなみに、世界的に見ても古代哲学の専門誌はけっして多くはなく、われわれにも馴染みがあったのは、オランダから出ている Phronesis 誌がほとんど一つだけだったが、その頃はド・フォーゲルらが編集を担い、とりわけ充実した時期にあったから、暗黙裏ながら、それがいわば模範のように意識されていた。本誌の英文サブタイトルとして付されている A Journal for Ancient Philosophy は、この雑誌に倣ったものである。

 本誌はほぼ10号ごとに表紙の色を変更し、特に第XLII号からはデザインも一新されて今日に至っている。ちょうどそれに見合ったかのような仕方で、何度かにわたり大小さまざまな変化が編集体制や雑誌全体にも加わっていった。各号のページ数も当初の48ページから最近は100ページ前後に倍加し、原稿の長さ制限も大幅に緩和されている。また最近の収載論文の多くに、関連する最近の国際的研究状況全般に対する確かな目配りを踏まえ、それらに伍して議論しようとする意識がはっきりうかがえるようなものになっているのは、やはり研究水準の進展を示すものと見ることができよう。もとより、たえず原典そのものに立ち返り、そこから直接にすぐれた哲学的示唆を導出することが、変わることなくわれわれの目指すべき営為であろうが。

 本誌の継続と発展は、京都大学の西洋古代哲学研究室にそれぞれの時期に所属したメンバー全員の努力とともに、古代哲学およびそれに関連する分野の研究者、学生諸氏をはじめより広く関心を寄せて下さる多くの方々の、支持と支援なくしては、ありえなかったものである。そのことを特記するとともに、すでに退職して久しいわたしも、外野応援席の側に立ちながら、今後の本誌のさらなる充実した歩みを祈念したい。

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